おでんのロスより機会ロスが怖かった。「コンビニとは、そこまでするのか」と驚かれた、イイ働き方の話
時代は変われど、皆さんの働くモチベーションを上げるきっかけは、「課題を解決する」ってところにあると思います!
■「コンビニに商品を置く」意味を議論するきっかけに
こうした泥臭い話は、いまの若い人からすれば「バカじゃないのか」と感じるかもしれません。
私だって、いまだったらここまで思い切った行動はできないでしょう。
ただ、「私はこんなに頑張ったんだ!」という自慢話ではなく、あくまでも過程の出来事をお伝えしているだけなのです。
実は、この話の続きが重要で、件の欠品阻止以降、資生堂が真剣に「コンビニに商品を置くということ」について議論してくれるようになったのです。
こうして始まったのが、ローソンと資生堂による合同会議「LSミーティング」です。
この会議では両社員の人間ともに社章を外し、純粋にコンビニのお客様のことだけを考えて意見を出し合いました。
LSミーティングからはさまざまなアイデアが生まれ、男女ごとに売り場が分けられるようになったのもここからなのです。
現在、コンビニでは化粧品、生理用品、パンストが同じ売り場に置かれていますよね。しかし、当時は生理用品はティッシュやトイレットペーパーと同じ「紙製品」売り場に置かれ、パンストは男性の肌着 と同じ「衣類」売り場に置かれていました。でも、これっておかしいよね、と。女性は女性、男性は男性で、それぞれ買いやすい売り場にしようと改革が行われたんです。また、コンビニコスメという言葉を浸透させた「化粧惑星」も、LSミーテ ィングから発展して生まれた商品です。
お互いに膝を交えて、コンビニのお客様について話し合うことが、この欠品問題をきっかけに始まったのです。コンビニの本気の姿勢を見せることで、超大手メーカーの態度も変わっていったのです。
ちなみに、もしも私がセブン-イレブンの社員だったら、資生堂と手を取り合うことはなかったかもしれません。
というのも、業界トップ同士はお互いの利害が衝突するため、仲良くなりにくいからです。
当時、業界2 番手のローソンだったからこそ、資生堂も歩み寄りやすく、さまざまなコンビニ限定商品が生まれていったのだと思います。
コンビニは日本の誰もが利用する、日本国民が作り上げた、世界最強のリアル小売業であり、そのことに異論を挟む人はいないでしょう。
ただし、昨今、コンビニ問題がネットでテレビのニュースで話題となっています。
いま必要とされている社会的課題との向き合いは、オーナー・本部ともに大変厳しい戦いとなります。そんな現状と処方箋を、日本の未来になぞらえて、この本を書きました。皆様が感じた異論反論・斬新なアイデアで、前向きな議論が活発化する機会になれば幸いです。
さて、ここでいきなりではありますが、最後にコンビニクイズを1問出題!
Q.コンビニの年間総来店客数は?
①約17億4000人
②約174億人
③約1744億人
答えは次回の連載記事公開時に発表! 皆さんもじっくりと考えて、答えを導き出してください!!
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KEYWORDS:
【渡辺広明氏 出演情報】
1/17(金曜) 発売 『FRIDAY』コラム掲載
1/22(水曜) フジテレビ『Live News α』 23:40~
1/29(水曜) くまざわ書店東京テレポート店(りんかい線東京テレポート駅構内 フジテレビ最寄り駅)にて15:00~19:30 著書『コンビニが日本から消えたなら』渡辺広明さんによる直接手渡し販売会&サイン会を開催
1/31(金曜) 静岡県浜松市(著者出身地)谷島屋書店浜松本店内エクセルシオールカフェにて18:30~20:00 著書『コンビニが日本から消えたなら』刊行記念トークショーを開催
『コンビニが日本から消えたなら』
渡辺広明 (著)
少子高齢化デフレ、AIデフレという新地獄に負けない経済戦略が実はコンビニで行なわれている! 日本一のコンビニ流通アナリスト渡辺広明氏が誰にとっても身近であるコンビニの最新施策を分析し、小売業の未来図を説く。今話題のコンビニ問題と社会問題に関する解決策を提案。ここまで真相に迫りって述べた作品は今までない!すべての業界で働くビジネスマンにも通じる「いい仕事」をするために何を考え何をすべきかを説くビジネスの教科書となる1冊です。
全国一律、「24時間開いててよかった」をキャッチフレーズとし年中無休の利便性を打ち出していたコンビニが、キャッチフレーズを「近くて便利」に変更し、上質な品揃えと接客で「お客様から常に頼りにされる店」へと変化しています。それがめまぐるしく変化を遂げるコンビニのレイアウトや新商品展開、AI IoTの導入、セルフレジの導入、健康・医療サービス、高齢者へのサービス、エコな商品の開発などに見て取れます。
1.こういった日本社会が抱える課題点とコンビニの変化には密接なつながりがあり、その問題を解決する施策こそ、従事する「人」が描くべき経済戦略であり、5万8699店舗という小売業界世界No, 1を誇るコンビニが取り組む施策だからこそ、必ずや世の中の常識となっていきます。この経済戦略、働き方の新方程式への気づきを読者が得られます。
2.著者渡辺さんが、今までTVでは表現し切れていない、とっておきのリアルなコンビニ店長時代の体験エピソードを放出して頂きます。これは読み手にとって青春時代のコンビニを思い出す原風景であり、コンビニはそこまでするのか…と驚きの内容となっています。いい仕事を目指す人にとって、感動し涙すること間違いなしです。
この2点が本書の最大のおすすめポイントです。